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演劇作品『ライン』 覚書
〇全2幕、途中休憩あり。2時間30分ほど。
〇対象…演劇を愛し、それに集う全ての人々。
〇作品舞台の設定…生命の誕生から現在に至るまで。日本ではない何処か。
この作品は、大きな物語を、大河を持ったものにしたいと思っている。
それは根が深く、骨の太い、古典となるべきである。
多くの制限、現実的な限界が存在するのは重々承知しているが、
その中で、可能な限りの到達点へと躙り寄ること。
そして、それら全てが、演劇への愛で裏打ちされていること。
かの一群は、ある土地に生まれ、出会い、国を築いていく。
この一群が体験していくこと、何かを感じ、それに言葉を与え、発していく、
この始原の情景は、そのまま“表現”そのものに繋がる。
言葉を手に入れ、それを研くこと。
研く中で、何かが削がれていくこと。
それらを過多に消費すること。
この一群の物語は、誕生から現在に至るまでの途方も無い時間の量を、凝縮してみせるものである。
そして、全ては現代、やはり日本に至る。
そこに今を生きる者として、これからの演劇というものに、確かな力を感じるのである。
空間に満ちるもの全てに、いかにも演劇だ…と思えるもの、
誰もが思い描ける“演劇的”なもの、そんな不確かだが、実在するものを宿すこと。
そして、それらを強さと面白さの中で、描き尽くすこと。
これ即ち、演劇の再生である。
大きなことを言う。否、言おう。
私の思う演劇は、そういうものである。
唐草模様の大風呂敷、そこに立ち上がる法螺吹きの塔こそが
私にとっての“演劇的”なのだ。
そんな思いを持って、
この作品を、演劇に、そして、演劇を愛する全ての人に捧げたい。
瓶詰ジャパニーズ 内河啓介
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